- Vol.39 28年前の私からのプレゼント ―あなたへのおくりものー
- Vol.38 うーん…途中まではいいんだけれど、ちょっと違う??
- Vol.37 発展と進歩
- Vol.36 音楽はすばらしい
- Vol.35 心に届く言葉、届かない言葉
- Vol. 34 2020年の仕事はじめ
- Vol. 33 That’s the way it is.
- Vol.32 徒然なるままに
- Vol.31 勉強ってなあに?
- Vol.30 京都の春
- Vol.29 正確な日本語?
- Vol.28 引っ越し、執筆、講演、そして引っ越し
- Vol.27 〇月×日
- Vol.26 It's not easy to write textbooks.
- Vol.25 Even a pig climb a tree when flattered!? 豚もおだてりゃ木に登る
Vol.4 「勉強ぎらい」「英語ぎらい」の大学生との1年
「箸にも棒にも掛からないような俺たちに一年間付き合ってくれてありがとう。先生がいなければ、一生、英語は大嫌いで終わっていたと思う」
後期試験が終わって教室から出ていく時、S君はそう言って握手を求めてきました。野球部の巨漢のA君をはじめ、クラス全員とbig hug!!
決してレベルが高くない某大学でスポーツ/メデイア専攻の生徒の中で英語のレベルが7クラス中下から2番目のクラスを受け持って1年。 後期の最後の授業です。 勉強大嫌い。テスト大嫌い。4月の最初の講義で学生たちと接してわかったことは、みんな英語が大嫌いで大の苦手。勉強の仕方もわからない。 中学、高校の英語の先生に見放され、苦痛としか思わずに6年間英語の授業を受けてきた学生たち。 必須科目なので全員が、いやいや受講していました。
最初の授業で、私が彼らに約束したのは、「文法、書き換え、スペルのテストはしない」「人と比較しない」「使える英語を学び、共に楽しめるような授業にする」ことでした。
使用したのは Learning World Book 3。彼らに変化が大きく表れたのは、前期試験以降でした。
前期試験の課題は、
・Learning World Book 3 の Achievement Targets を全部クリアすること
・クラスの前で、自分と自分の尊敬する人についてスピーチをすること
・テキストの各左ページを暗唱または上手に読めるようになること です。
APRICOT から発売されているゴールドとブルーのシールも駆使しました。“おっさん”に近い体育会系男子学生や金髪、ピアスの女子学生たちが、一生懸命チャンツを暗唱している姿は本当に楽しいものでした。 結果、全員前期の課題を達成! 彼らに自信がつき、それに伴い英語が好きになってきた様子がうかがわれました。
後期になって英文講読を導入しても拒否反応は起こらず、内容に興味を持って英文を読む習慣がつくようになりました。 教材は、学生たちが内容に興味を持つもの、すでに知っている内容の物を毎回手作りで用意しました。 (一番、食いつきがよかったのは、アニメ、ワンピースのキャラクターの説明を英文にしたものでした)。 明け方まで焼き鳥屋とパチンコ屋でアルバイトしているD君、S君をはじめ、全く精気の無い顔をして受講していた学生達が、いつのまにかイキイキした顔で講義を受けるようになり、学習における達成感の重要性、 ラーニングワールドの Achievement Targets が大学生にも非常に有効であることを発見したのでした。
授業が終わると「お疲れーっす!」と教室を出ていく学生たちに、「ちょっと待ちなさい。その言葉は目上の人に言う言葉ではない。“ありがとうございました”でしょう」と注意。授業内容は学生のレベルに合わせても、先生はけっして友人化してはならない。大人の威厳はしっかりと保ち、示すべきです。
「それでも大学の授業?」なんて言わないでくださいね。 「難解な授業より、学生が少しでもレベルアップする授業を」 それが私の方針です。