コロナウイルスで皆さん不自由な日常生活を余儀なくされていらっしゃることと思います。
不安になる最大の原因は、先が見えないことです。勿論、人生の殆どは次の瞬間何が起こるかわからないのですが、予測不能の状態が人の心を一番不安定にさせるものですね。そんな時、私は一番悪いシナリオを頭に描き、それに対処する方法を考え、心構えを持つことにしています。
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プロフィール
ご存じアプリコット出版筆頭著者。
元AIM English Studio (大阪・堺市)主宰。
Learning World series、『キッズ英語絵本シリーズ』等アプリコット出版刊行物多数。
幼児・小・中・高・大学・大人と全年齢層の英語教育実践家で児童英語教師のカリスマ的存在。
APRICOT児童英語教師養成講座講師。Learning World 認定校スーパーバイザー。
Vol.35 心に届く言葉、届かない言葉
「想定外でした」という言い訳はしたくない。社会や経済は人間の心理で直ぐに崩れます。順風満帆の時は誰しも上手に生きていくことができますが、窮地に陥った時こそ、人の「人となり」というか「真価」がわかります。
あなたの真価が問われるのは今です。Feelings やemotion に流されずに、事態をできる限り客観的に分析し、次の一歩を決めたいですね。「不要不急の外出は避けてください。」と言われますが、70歳の私は日常の殆どが不要で不急です(笑)。コンサートや習い事、各種会合がすべてキャンセルになったので、仕方なく(?)毎日、自宅にこもって、次に出版になる『実践家からの児童英語教育法 テキスト編』の執筆に励んでいます。2003年に出版した「実践家からの児童英語教育法」は全3巻、「解説編」「実践編AB」「実践編CD」から成ります。その解説編をアプリコット出版主催の「児童英語講師養成講座」の小冊子と合わせて、大学でも使える13章(半期15講座に合わせた)にまとめた、児童英語教育に携わる人のためのテキストです。児童英語教師養成講座で受講生の皆さんに直接お話しする時と同じように、皆さんにより深く理解していただけるように、言葉を選びながら書いています。
話はコロナウィルスに戻りますが、この緊急事態で我が国の総理大臣や某大国のT大統領をはじめ、各国のリーダーから国民に向かっての緊急会見をテレビで見る機会が増えました。それらを聞く度に、なぜ、こんなに心に響かないスピーチを政治家はするのだろうかと苛立ちを隠せません。言葉というものは本当に難しいものです。語彙が豊富で、文法的にも完璧で、美辞麗句をどれだけ並べても、全く聞く人の心に届かない言葉ってあるのですね。言葉だけが上滑りしているようで虚しさだけが残ります。「この事態を重くとらえ、政府全体で迅速に適切に対処し国民の平和を守っていく所存です」???いったい現実的に何をするの??? たぶん、「どこから突っ込まれても逃げ道がある」、「人に理解してもらう前に自分の正当性をアピールしたい」、そんな気持ちが抽象的な言葉を生み出し、では「実際にどうするのか」、国民、政治家が一緒になって何をするべきなのかが伝わってこないというか、言っている本人もわかっていない。誠意や心のないスピーチは言葉であっても相手の心に届かない。言語教師として、子供達に何を教え、伝えていかなければいけないかを再考する良い機会になりました。
我々の分野でも、「ファシリティター」「アクティブラーニング」「コミュニケーション能力」「タスク学習」という言葉を頻繁に目にしますが、英語教育に大切であることは理解できるけれど、実際、どういうこと?・・・言葉だけが独り歩きしているようです。
現在私が執筆している『実践家からの児童英語教育法』は、タイトルにあるように、実践家であるがゆえに、「〇〇〇が重要ですよ」と理論を述べるだけでは済まされない。実際にレッスンの中でどうすれば良いのか。どうすれば子供達の心に響き、届くのかを、言葉を尽くして読者の皆さんに理解をしていただいてこその実践家です。私は英語教育法について、実際何をどのように教えるべきかをお伝えすることはできますが、この状況で、それぞれの教室の運営状況の中で、今何をすべきかは、皆さんの知恵でお考えください。インターネットを活用したオンラインレッスンをしていらっしゃるとか、年度末のテキストの総復習で、Achievement Targets(これだけできるようにがんばろう)の課題を子供達がそれぞれ自宅で頑張っています、という声も届いています。まだ当分不自由な生活が続きますが、「想定内」と笑って過ごす「強さ」と「明るさ」があってこそプロだと思います。
中本からのエールを受け取ってください。
中本からのエールを受け取ってください。
さあ、エッセイも書き終えたし、今からテニスに行ってこようっと。