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なかもとと友かな

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ご存じアプリコット出版筆頭著者。 元AIM English Studio (大阪・堺市)主宰。 Learning World series、『キッズ英語絵本シリーズ』等アプリコット出版刊行物多数。 幼児・小・中・高・大学・大人と全年齢層の英語教育実践家で児童英語教師のカリスマ的存在。 APRICOT児童英語教師養成講座講師。Learning World 認定校スーパーバイザー。
  • Vol. 33 That’s the way it is.

    子供は小さい時から様々なことに興味を持ち、疑問を持ちます。どんなお母さんでもある時期、子供からの「なぜ?」「どうして?」の質問攻めに遭い、つい面倒になって「どうしてでも」「なぜでもそうなの」(That’s the way it is.)「ずっとこうだったからそれでいいの」と答えてしまった経験が少なからずあると思います。しかし、我が家では子供が物心ついた頃から「“どうしてでも”は答えになりません」が二人の合言葉でした。そのため、疑問を持てば必ず調べ、理論的に納得できるまで、答えや解決法を調べるという面倒な過程を辿ることになりました。その結果、息子はガチガチの理系人間になり、私は理屈っぽいおばさんになりました。現在の年齢になり周りを見回してみると、性別や専業主婦、働く人にかかわらず、疑問を持たずに目の前の事項をこなしながら生きてきた人と、疑問を持ち、自身の考えに悩み、道を切り開いてきた人では、長い間にずいぶん違いが出てくる気がします。もちろん、どちらの生き方が良いか悪いか、ではなく。

    中学3年生の時、神戸にあるインターナショナルスクールに行ったのがきっかけで、日本の英語教育の方法に疑問を持ち、今日までずっと「使える英語」を習得するための英語教育を突き詰めてきました。世間や学会がどう言おうが私には関係ありませんでした。英語を好きになり能力を付けていく教え子だけが私に指針を与えてくれました。その教え子たちが示してくれた結果が私を突き動かす原動力となり、そのことに何の疑問も持ちませんでした。

     

    しかし、先日とある講演を終えた時、ある先生が「あぁあ、カードをフリップしたり、カードを取り合いっこしながら単語を教え、文法と訳を教えるだけなら楽だったのに、言語教育なんて言いだして厄介なことになったもんだ」と仰ったのです。そうです、同じ給料をもらって同じ時間を使うなら、楽な方がいいに決まってる。それが労働の効率が良いということ。。。私は、驚くとか怒るとかでなく、「あー現実はそうなんだ」と妙に納得し、その言葉が心に残りました。

    日本の英語教育の行く先はまだまだ定まっていません。私は自分の信じることを具体化するために実践を積み、勉強も重ねてきましたが、「従来の楽な教え方」を前に屈してしまいそうです。いやいや、「なぜでもそうなの」「ずっとこうだったからそれでいいの」は答えになりません。ラーニングワールドはアプリコット出版と共に、従来のパターンプラクティスや単語の習得だけを目的とした教え方に疑問を持ち、新しい教え方に挑戦してきました。

     

    そんな中、鳥飼玖美子先生がおっしゃったことに、勇気をもらいました。以下朝日新聞11月18日からの抜粋です。

    「・・・4技能の土台は読解力、つまり「読む」ことです。読むことによって単語の使い方や文章の組み立てを学び、それをもとに書くことを学ぶと、聞いて分かるようになる。そして話せるようになるのです。日本では多くの人が自己紹介や道案内などが「話す」ことだと勘違いしているようです。日常会話は決まり文句を覚えてしまえばいい。(略)でも、「話す」ことは、自分の考えや主張を英語で発信できるか、英語の理論で伝え理解しあえるかなのです。そのためには、英語という言語のルールを知らなければなりません」それが文法です。 (略) 「話す」教育が必要ないと言っているわけではありません。高校まででも、読んだことについて討論したり、発表したりして4技能を総合的に学習すればいい(後略)」 (朝日新聞2019年11月18日「英語民間試験見送り 今後の課題は」より)

    上記に加え、情報を得るのは、書かれたものの読解だけではなく、現実の日常やテレビなどの(実)映像を伴うものがその大半だということを考慮し、ラーニングワールド最終巻 “THE FUTURE” (編纂中)では“読む情報、聞く情報、見る情報”という3種類のソースが単独、または複合された情報を英語で理解し、自分でまとめ、討論、発表(口語・レポート等)する能力を育成できるように構成したので、この記事を読んで溜飲が下がる思いでした。

    ラーニングワールドシリーズは決して楽しいだけの教材ではありません。

    鳥飼先生の言葉をお借りすると、「英語で発信されている情報を基に自分の考えや主張を発信できる。英語の論理で伝え理解しあえる」子供達を育てる到達点(Destination)を目指して作られたコースブックです。

    3,4歳から発達段階に応じて、インフォメーションギャップのある活動やCreative な活動を通じて自分の考えを持ち、まとめ、表出できる活動がデザインされています。定着を促すチャンツや歌に楽しいリズムやメロディを付け、内容には年齢に応じたユーモアを入れて子供達に親しみやすくしました。

    そして、ある程度学習を経た時点で、言語活動やチャンツを使って言語のルール(単語の使い方や文の組み立て)を帰納的に学ぶ“BRIDGE ”によって、より深く明瞭に自分の考えを相手に伝えることができるのです。その意味でBRIDGEは次のステップに行く重要な過程と言えます。その後“TOMORROW”では、より複雑な文構造を使ってより深く、より理論的に英語で伝え理解しあうことに焦点を当てました。そして、“THE FUTURE” 終了時には、あるまとまった英語の文または映像から情報を的確に得て、そこから論理的に自分の意見を英語で発信でき、他者とコミュニケーションできるようになることを到達点として、この全10巻という長いコースブックに取り組んできました。

    「ずっとこうだったからそれでいいの」に対する私の挑戦です。一人でも多くの先生方に理解していただきたいと思いながら。

    I thought I reached the end
    The end of a long long journey
    Only to find it’s not over
    There’s so much more to discover  [銀河鉄道999] by 奈良橋陽子さん

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