- Vol.39 28年前の私からのプレゼント ―あなたへのおくりものー
- Vol.38 うーん…途中まではいいんだけれど、ちょっと違う??
- Vol.37 発展と進歩
- Vol.36 音楽はすばらしい
- Vol.35 心に届く言葉、届かない言葉
- Vol. 34 2020年の仕事はじめ
- Vol. 33 That’s the way it is.
- Vol.32 徒然なるままに
- Vol.31 勉強ってなあに?
- Vol.30 京都の春
- Vol.29 正確な日本語?
- Vol.28 引っ越し、執筆、講演、そして引っ越し
- Vol.27 〇月×日
- Vol.26 It's not easy to write textbooks.
- Vol.25 Even a pig climb a tree when flattered!? 豚もおだてりゃ木に登る
Vol.19 WELCOME ”PINK” のAchievement Targets作成にあたって
Learning World シリーズは、みなさんご存知のように「到達度評価」 を採用しています。
「到達度評価」とは、車の免許のように、「縦列駐車ができた」「坂道発進ができた」と、一つ一つの技術を個人が習得し、課題を達成していくもので、人と比べる「相対評価」とは異なります。他人はどうであれ自己内の進歩に重点を置いた評価で、これは言語教育には必須のものです。
Learning World シリーズでは、この到達度の課題を大きく2つに分けています。
1つ目はテキストの中の機能を重視した文やチャンツの暗唱ができているかどうかの評価です。
もう1つは、それぞれの機能を持つ語句や文を使って自分のことを言えるかどうかの評価です。
Book 3 の過去形を例にとって説明しましょう。Unit 9-1A と2Aの過去形のチャンツを暗唱することができ(課題10) なおかつ、「昨日私がしたことを5つ言うことができます」(課題7)という課題も必要であることは、皆さんもよくお分かりだと思います。 (⇒⇒ Book3のAchievement Targetsはコチラから)
ちなみに、高学年用のCHANTS for Grammar のAchievement Targets (一番最後のページに掲載)では、課題の難易度を先生自身が決めることができるようにしています。
このAchievement Targets(これだけできるようにがんばろう)のページは、Learning World シリーズのWELCOME to Learning World PINK (3~5歳対象の教材)以外の全巻に入れています。テキスト1冊を終えた時の到達度を示すことによって、生徒にも保護者の方にも学習の成果を可視化することができ、指導者も自分の教え方の反省する機会を与えてくれます。
さて、今回、WELCOME to Learning World PINK book にもAchievement Targets がほしいというご要望が多かったため、新たに作成することになりました。 (2015年4月)
ここで、なぜ、今までなかったのかについて説明しましょう。幼児の言語活動における発達段階の大きな特徴のひとつに、「聞いたままの音をそのままreproductionすることができる」ことがあります。拙著 『実践家からの児童英語教育法』「解説編」にありますように、Canal and Swain (1980) が、コミュニケーション能力をGrammatical Competence(文法能力)、Discourse Competence (談話能力)、Sociolinguistic Competence (社外言語的能力)、Strategic Competence (戦略的能力) の4つの能力に分けて、文法能力の中に言語の構造、語彙、発音に関する知識が含まれているとするのに対して、幼児は、(大胆にも?)、英語の意味がはっきりと理解できなくても、大人に比べて完璧にreproductionできるので、音声能力を別に考えるべきだというのが私の考えです。
ですから、幼児に英語を教える時は、Authentic (実際に起こっている事象と密接につながりを持つ)に教えるべきで、その意味がはっきりしなくても、また、英語の一文字一文字がはっきりしなくても、英語特有の発音、リズムができていればOK、一つ一つの歌やチャンツ、会話文を個別で発表することまで目指さなくても、お父さんやお母さん、先生、クラスのみんなと動作を付けたり、ダンスをつけたり、ゲームをしながら、または日常生活の中の実際の場面で楽しく言えればよいと考えています。
著者の希望としましては、WELCOMEの PINK book は、養育者の方と一緒に学んで、お風呂に入る時や、パジャマを着る時、お片づけをする時など、一緒にチャンツや歌を歌いながら生活の中で覚えていっていただきたいのです。
今回新たに執筆したAchievement Targetsでは、敢えて先生、お父さん、お母さん、おばあちゃんと一緒に動作を付けて歌えることを目標としました。
付録のHang-in-there (部屋ごとの身の回りの語彙チャート)は、語彙の習得ですので、 できるだけ多く覚えるように指導してください(なるべく実物の中で)。 会話文は、あくまでも場面の中で使ってください。会話文だけを取り出して暗記することにあまり意味を見出せないので、あえて、Achievement Targets からははずし、生徒用CDにも音声を入れていません。
★★★PINK book ”Achievement Targets” はコチラからダウンロードできます⇒ PINK_A.Targets
★★★PINK bookの商品詳細ページはコチラから
WELCOMEシリーズ3冊(幼児対象)は、英会話のクラスだけでなく、ご家庭で養育者の方と一緒に学べるように構成しています。評価を厳しくするよりも、楽しく一緒に学ぶことが大切です。なお、小学生低学年対象のクラスでYELLOW book をご使用の場合は、指導書ではなく『30 Lesson Plans for Young Learners』 の方がレッスンプランとしては使いやすいと思います。