- Vol.39 28年前の私からのプレゼント ―あなたへのおくりものー
- Vol.38 うーん…途中まではいいんだけれど、ちょっと違う??
- Vol.37 発展と進歩
- Vol.36 音楽はすばらしい
- Vol.35 心に届く言葉、届かない言葉
- Vol. 34 2020年の仕事はじめ
- Vol. 33 That’s the way it is.
- Vol.32 徒然なるままに
- Vol.31 勉強ってなあに?
- Vol.30 京都の春
- Vol.29 正確な日本語?
- Vol.28 引っ越し、執筆、講演、そして引っ越し
- Vol.27 〇月×日
- Vol.26 It's not easy to write textbooks.
- Vol.25 Even a pig climb a tree when flattered!? 豚もおだてりゃ木に登る
Vol.18 ぴらぴらと編集会議
現在、私は週に1度だけ大学で教えていますが、たった週1度でも、春休みになると解放感があり嬉しいものです。おまけに大学の春休みは長い!! 前々回に書きましたように、大学に後期の成績を提出し、アプリコット出版、編集長の新井氏と3日間のバトルを終え、アメリカ、メキシコの旅行に出ました。帰国後間もなく、私の尊敬する青木昭六先生と仲間達で行っている英語教育勉強会の春の1泊遠足があり、その後、またまた、脱稿したはずの原稿にいっぱい付箋をくっつけて東京から新井氏がやってきました。新しいテキストが出版されるまでには、著者の私以外にデザイナー、イラストレーター、英語担当の編集者、native のスタッフ、音楽編曲及び製作担当、録音ディレクター、印刷担当と大勢の方が関わっていて、多くの時間がかかります。企画会議から始まり、執筆しながらも、より良いものを作るために、私と編集長のバトルは延々と続くのです。新井氏とは、ラーニングワールドシリーズをはじめ、絵本シリーズや『実践家からの児童英語教育法』と、もう20年以上、二人三脚で制作、出版していますので、お互いに相手を攻略する術を知り尽くしています。
敵 (新井氏)は、私の大事な原稿にいっぱい付箋をぴらぴらつけて、東京から意気揚々と私の執筆場所の兵庫県芦屋市にやってきました。「先生!ここの記述がおかしいです」「この例文をもう少し短くしてください。でないと紙面に入りません」「この部分は確か、前ページにも出てきましたよ」「ここはもう少し噛み砕いてだれにでも理解できるようになりませんか」と攻めてきます。気の弱い私は、一応はすべてのぴらぴらに抵抗を示すものの、ひどく傷つくのです。
そんなある夕暮れ、私は彼女をちょっと素敵なイタリアンレストランに誘いました。大型クルーザーが何隻も停泊している芦屋マリンハーバーのクラブハウスの中にある最近お気に入りのレストランです。沈みゆく太陽に照らされるクルーザーを見ながらのテラス席でのワインと食事、でも、ロマンチックな気分には程遠く、「これからまだ夜は長いですよ。食後も仕事を続けますよ!」「ワインの2杯や3杯で仕事ができなくなるなんてプロじゃないよ。はっはっはっ!」とお互いを牽制しあうこと2時間。結果、仕事場に戻り、仕事を再開してから最終バスが出るまで、アルコールが回ったのかますます饒舌になる新井氏は、ぴらぴらを振り回し、私を責め続けました。機嫌よくホテルに帰っていった彼女を見送った私は、新井氏に指摘された懸案事項が気になって酔いもふっとんでしまい、翌朝、新井氏がまたやってくるまでに、指摘された箇所をすべてrewrite したのです・・・
「ええっ?先生、朝早くから書いてくださったんですか。ありがとうございます」と神妙な面持ちでお礼を言う新井氏。でも私はその陰の「ふふふ、やればできるじゃん」という不敵な笑みを見逃しませんでした・・・。そんな中、溜飲が下がったのは、私の愛犬が飼い主の敵とばかりに彼女の前でおしっこをしたことでした。でかした!カプチーノ(愛犬の名前)。
次作、ラーニンワールドシリーズ“Bridge”(仮称) を乞うご期待!
その後、元生徒達と一緒に1泊4日(!!)の驚くべきグアム旅行をこなし、私の春休みは終わりました。