- Vol.39 28年前の私からのプレゼント ―あなたへのおくりものー
- Vol.38 うーん…途中まではいいんだけれど、ちょっと違う??
- Vol.37 発展と進歩
- Vol.36 音楽はすばらしい
- Vol.35 心に届く言葉、届かない言葉
- Vol. 34 2020年の仕事はじめ
- Vol. 33 That’s the way it is.
- Vol.32 徒然なるままに
- Vol.31 勉強ってなあに?
- Vol.30 京都の春
- Vol.29 正確な日本語?
- Vol.28 引っ越し、執筆、講演、そして引っ越し
- Vol.27 〇月×日
- Vol.26 It's not easy to write textbooks.
- Vol.25 Even a pig climb a tree when flattered!? 豚もおだてりゃ木に登る
Vol.11 わが著作物と講演の分析
アプリコット出版の編集長、新井氏によると、「無秩序に出てくる中本先生のアイデアをまとめるのが大好きです」・・・だそうですが、その弁を聞くたびに「えっ 私ってそんなに無秩序?」と思います。
確かに、振り返ってみれば、無秩序とまではいかないけれど、自分の原稿や履歴をオーガナイズするのが好きではないことは確かです。著作の原稿にしろ講演原稿にしろ、自分の考えを構築している過程が最も楽しい瞬間で、本が出版されたり講演が終わった頃には、それらはすでに過去のことになっていて、私の好奇心はとっくに次のものに移っているのです。ですので新刊の本を褒めていただいても講演を褒めていただいても、 ピンとこなくて返答に窮する場面がしばしば。(本当にごめんなさい)
そんな私が、某大学に依頼され業績報告書を作らなければならなくなりました。学会発表、講演、講師、著作などなどたくさんありすぎて覚えていないので、“抜粋”でなんとかごまかし業績報告書を作って送ると、当然ながらもっと詳しく書くように言われました。過去を振り返りオーガナイズするなんて一番苦手なこと。
「過去の積み重ねが現在であり、そこに努力とビジョンを足して未来がある」のだから、過去なんて振り返っている暇は私にはありません。次の課題をこなすのに忙しいのです。
そこで元教え子であり、現在公立中学の英語の先生をしている麻実ちゃんに助けてもらうことにしました。「著作報告」の欄では、2人で膨大な資料を調べていくうちにいろいろなことがわかりました。
たとえば、アプリコット出版から出版させて頂いている本の売れ行き。ラーニングワールドシリーズでは Learning World Book 1 が最も多くの先生方にお使い頂いていて、旧版は23刷、「改訂版」は8刷です。次は、WELCOME to Learning World YELLOW で24刷。絵本はA Teddy Bearが1位で14刷。「私の好きな著作物と使って下さっている方が多いのとは必ずしも同じではないね」とか、「うんうん。これはあの箇所を工夫した甲斐があって、先生方に受け入れられている」
などと楽しくおしゃべりしながら作業を進めることができました。
次に、「講演」の欄を埋めるべく、過去25年間の私の講演題とサマリー(要約)を見てみると、一貫して、「答えが一つの従来の英語教育を反省し、言語としての英語教育の重要性」を訴えてきたことがわかります。「テストのための英語教育ではなく、自分の考えを構築し、発信するための英語教育」が、40年近く児童英語教育に携わってきた私の、ぶれのない信念です。
講演演題で一番多かったものは「英語を武器にできる日本人」でした。
残念ながら、私の出身の大阪市では「小学6年生で、英検3級をめざすフォニックスを中心として英語活動」を行うという、訳のわからないことを始めるようです。来年こそは、現行の英語教育のどこに問題があるのかを真剣に考え、言語としての英語教育とは何かを理解してくださる人が一人でも多く出ますように。