- Vol.39 28年前の私からのプレゼント ―あなたへのおくりものー
- Vol.38 うーん…途中まではいいんだけれど、ちょっと違う??
- Vol.37 発展と進歩
- Vol.36 音楽はすばらしい
- Vol.35 心に届く言葉、届かない言葉
- Vol. 34 2020年の仕事はじめ
- Vol. 33 That’s the way it is.
- Vol.32 徒然なるままに
- Vol.31 勉強ってなあに?
- Vol.30 京都の春
- Vol.29 正確な日本語?
- Vol.28 引っ越し、執筆、講演、そして引っ越し
- Vol.27 〇月×日
- Vol.26 It's not easy to write textbooks.
- Vol.25 Even a pig climb a tree when flattered!? 豚もおだてりゃ木に登る
Vol.14 キッズ英語絵本シリーズ(全10巻)に託した想い
アプリコットキッズ英語絵本シリーズ(Picture Books)には、各巻にターゲットの文や語彙が設定されていて、繰り返しが多く、本を読み終えるまでに、ターゲットの文が自然に口から出てくるように構成されています。
ストーリー展開の場面(situation)にあった英語が身につくのが絵本の魅力です。同時に、このシリーズには、子ども達の自尊心(self-esteem)を高めるメッセージが各ストーリーに入っています。 言語学習には自分を正しく認め、他を受け入れることができるself-esteemの向上が必須だと考えるからです。
今回は第10巻”What’s this?“に託した私からのメッセージについてお話しましょう。
この絵本は、いろいろな小動物から見た一本の木が題材になっています。木の根元にいるリスは、「これは洞穴だ」と言い、枝の上にいる蛇は「橋」だといい、夏にいる虫は「いいや緑のカーペット」だと言い、秋にいるカマキリは「緑ではなくてオレンジ色のカーペットだ」と言います。冬に空から見た鳥は雪が積もった木を見て「綿菓子」だと言います。
「木を見て森を見ず」という諺は、部分だけを見て全体を見ないことを諫めていますが、この絵本で伝えたかったことはそうではありません。私が伝えたかったのは、これらの動物達がみんな「間違ったこと」を言っていないということです。それぞれが自分の立場、目線で「それは何か」と一生懸命考えているので、答えは違っていても、みんな正しいのです。
ある物事、ある出来ことには、一面だけではなく、いろいろな面があり、それを見る人の立場や経験そして、偶然的なcircumstanceによって見え方が異なります。
経験が未熟な人だから誤った見方をする、ということではなく、 未熟ゆえに、その人にしか見えない見方があるかもしれません。逆に、知識がたくさん入りすぎて見えなくなるものも、たくさんあるのです。
あなたの生徒が“あなたの考える「間違ったこと」を言った時、少し止まって考えてください。どうしてその子どもがその結論に達したかを。もしかして、その答えの中にあなたが見ることができない”宝石”が隠されているかもしれません。あなたの周りの人があなたと異なった意見を主張した時も、少し考えてください。
その人の経験、知識、環境、立場を。 もしかしたら、その人の考えはあなたと違うけれど、あなたの意見と同じように正しいかもしれません。
絵本10巻の「あとがき」に書いてあるメッセージと少し違うって? これを、わたしが、年齢を重ねたための「成熟の過程」ととられていただけると幸い(!?)です。